前号で、ヤフージャパンとグーグルが提携を発表した、というお話をし
ました。
▼ヤフー株式会社のプレスリリース
Yahoo! JAPANの検索サービスにおけるグーグルの検索エンジンと検
索連動型広告配信システムの採用、ならびにYahoo! JAPANからグー
グルへのデータ提供について
http://pr.yahoo.co.jp/release/2010/0727a.html
▼グーグルのプレスリリース
Yahoo! JAPAN のより良い検索と広告サービスのために
http://www.google.co.jp/intl/ja/press/pressrel/20100727.html
この件に関しては、一般のニュースやテレビのワイドショーなどでも取
り上げられていますね。
やはり関心が高いのだなと思うと同時に、社会インフラとして「検索エ
ンジン」が持つ影響力の大きさについてもあらためて考えさせられまし
た。
さて、今回なぜグーグルと提携したのかについて、ヤフージャパンの筆
頭株主でもあるソフトバンクの孫社長は、次のように述べています。
「ヤフージャパンは設立当初から一度も、自ら検索エンジンを持っ
たことがない」
「米ヤフーから検索エンジンの提供を受けて、ヤフージャパンが独
自のコンテンツを付加して検索サービスを提供している」
わかりやすく言うと、検索結果の表示をするための「アルゴリズム」に
関しては、一度もヤフージャパン独自のものを持ったことがない、とい
うこと。
つまり我々が今利用しているヤフーの検索は、米ヤフーから提供された
検索エンジンをヤフージャパンがカスタマイズしたものだ、というわけ
です。
ヤフーがグーグルを選んだのはなぜ?
米ヤフーはすでにマイクロソフトの「Bing(ビング)」という検索
エンジンに切り替えることを発表しています。
このため、ヤフーでも新たな検索エンジンの提供元として、同じマイク
ロソフトのビングか、グーグルか、あるいはその他のものかを検討しま
した。
しかしビングについては、
「ビングも候補として真剣に検討したが、日本語化の準備が十分整っ
ているという判断ができなかった」(孫社長)
ために、最終的に選択されたなかったとしています。
もちろん、なぜ自前の検索エンジンを開発しないのだろうか?という疑
問も浮かぶわけですが、これに対しヤフージャパンの井上社長は、
「日本の国内市場だけをターゲットにして検索エンジンを開発する
のでは採算が合わない」
と説明しています。
現在ヤフージャパンが採用している米ヤフー開発の検索エンジン「YS
T」は、世界数十ヵ国でビジネス展開されていますが、それでも投資効
率は悪いとされているのだそう。
そのような検索エンジンを日本向けにだけ開発するのでは、とてもでは
ないが採算が合いません、というわけですね。
ヤフーはヤフー、グーグルはグーグル
皆さんも利用していておわかりかと思いますが、ヤフーの検索結果ペー
ジに表示されているのは、純粋なウェブの検索結果だけではありません。
たとえば、
・地図とともに検索結果を表示(ヤフー地図)
・過去の質問への回答を表示(ヤフー知恵袋)
といった具合に、ヤフーが提供している各種サービスからのデータも混
然一体となって表示されています。
こうしたことを加味すると、グーグルから提供を受けるデータ、つまり、
純粋なウェブの検索結果が表示されるスペースは、検索結果画面の
「半分から3分の1程度」(井上社長)
です。
そして、これは検索エンジンがグーグルになっても変わりません。
「YST」をカスタマイズしたように、今度はグーグルをカスタマイズ
して提供するのであって、見た目としては、グーグルと同じ検索結果画
面にはならないというわけです。
一方、ウェブ検索の結果、つまり検索順位については、
「最初はおそらくグーグルとまったく同じになるだろう」(井上社
長)
という見解を示したうえで、その後、時間をかけて調整を加えていくこ
とになると述べています。
今でも検索エンジンは常に変化していますから、検索順位も永遠という
ことはないわけで、これは当然です。
ただ、移行当初はヤフーとグーグルのウェブ検索順位が同じになる可能
性が高いわけで、ホームページの運営者にとってはここがもっとも気に
なるところですね。
ソフトバンクの孫社長が、
「単に検索エンジンがA社からB社へ変わっただけである」
と言うように、検索エンジンを利用する立場からすると、たしかにそれ
ほど大きな変化ではないのかもしれません。
しかし、ホームページを運営する立場となれば話は別。
検索順位がアクセス数に影響し、さらには商売の成否まで左右されると
いう現状からすれば、その成り行きが非常に気になるわけです。
また何か新しい情報が入りましたら、お伝えしていきますね。(^^)