先日、こんな「事件」がありました。
▼携帯電話のメール、ネットで一気にデマ拡大
原宿・竹下通りがパニックに(産経新聞)
http://bit.ly/auSqdi
※URLは短縮しています。
「アイドルグループがいる」という噂が広まり、多数の若者が東京・原
宿の竹下通りに殺到して大混乱となった、というもの。
ニュースやワイドショーなどでも取り上げられたので、ご存知の方も多
いと思います。
流言飛語による騒動というのは昔からあり、ネットが普及してからも、
事実無根の「チェーンメール」が原因で、銀行の取り付け騒ぎに発展し
た、ということがありました。
そして今回の場合、「ソーシャルメディア」が少なからず影響している
ものと考えられます。
「ソーシャルメディア(social media)」というのは、誰でも参加する
ことができる情報共有媒体のこと。
「ブログ」をはじめ、「mixi(ミクシィ)」「Youtube(ユーチューブ)」
等が、ソーシャルメディアの代表例です。
これらのメディアはパソコンだけでなく、携帯などを使って、どこにい
ても手軽に情報発信できるのが特徴です。
そうしたソーシャルメディアのうち、利用者が急増している「twitter
(ツイッター)」が、今回の騒動を拡大させるのに一役買ったのではな
いか、と言われているのです。
短時間で一気に広まった「噂」
twitterの機能に「リツイート」というのがあります。
たとえば、誰かが
「竹下通りに○○がいるらしい」
とtwitterに書き込んだとします。
すると、それを見た他の人が
「RT 竹下通りに○○がいるらしい」
というように、ある人が書き込んだ文章を、自分の書き込みにそのまま
転載できる機能です。
転載することを表す「RT」という記号を付ければ、まったく知らない
人の書き込みでも自由に転載してよいことになっています。
つまりこの機能を使うと、twitterのユーザーなら誰でも、他人の書き
込みを他のユーザーに「広める」ことができるのです。
リツイートは、繰り返されているうちに最初にそのことを書き込んだの
が誰なのか、それが本当のことなのか、わかりにくくなっていきます。
結果的にその場にアイドルグループがいたという事実はなく、まったく
の「噂」に過ぎませんでした。
しかし、twitterの書き込みを読んだだけでは、その情報が確かなもの
なのかどうか、判断することはまず無理だったと思います。
事件を「生中継」したライブ動画
一方、この混乱の様子を速報したのもソーシャルメディアでした。
twitterは携帯などで撮影した写真もアップロードできるのですが、中
でもこの写真はその状況をよく伝えています。
▼竹下通りがパニックなう。
http://twitpic.com/1az6wc
噂を広めたtwitterが、今度はその噂によって引き起こされた混乱を伝
えるというのですから皮肉なものです。
また、この様子は「写真」だけでなく「動画」でも伝えられました。
▼竹下通り大パニック
http://twitcasting.tv/satovi/movie/81330
たまたま、この通りに面したビルにオフィスがあったIT企業の社長さ
んが、その様子をiPhoneで撮影、「ライブ動画配信サービス」を通じて
公開したのです。
まさに、目の前で起きている事件を「生中継」したわけで、テレビのニュー
スやワイドショーなどでもこの動画が使われていました。
このような、今撮影している動画をリアルタイムで公開できるサービス
もソーシャルメディアの一つです。
動画撮影機能がついた携帯電話やWEBカメラ、そしてインターネット
につながる環境さえあれば、誰でもこうしたことができます。
このように今回の「事件」は、奇しくもソーシャルメディアの広がりと
その影響力を世に知らしめるものとなりました。
と同時に、携帯などを通じてさまざまな情報が手軽に入手できる時代だ
けに、情報の判断スキルが今まで以上に必要とされます。
まずはそうしたメディアの本質を知るためにも、積極的にツールを使い
こなしていかなくては、と改めて感じた次第です。