今週は、最近よく耳にする「オウンドメディア」について解説します。
オウンドメディアとは
オウンドメディアは「自社が所有するメディア(情報媒体)」のことです。
他社が運営する媒体に広告を出す「ペイドメディア」、FacebookやTwitterなどクチコミを広げるための「アーンドメディア」と3つ合わせて、「トリプルメディア」と呼ばれます。
オウンドメディアでは、
- 自社が提供する商品やサービスに関連があり、
- ユーザー視点の有益な情報を
- 継続的に数多く発信する
ことが行われています。
ちょっとわかりにくいので、事例をご紹介しましょう。
どの事例も「ユーザーに喜ばれる情報をたくさん掲載している」というところがポイントですので、その点に着目してご覧ください。
http://nikipedia.jp/
にきびケア用品「プロアクティブ」で有名なガシー・レンカー・ジャパンが運営する、にきび情報を提供するサイト。
ニキペディアは、「プロアクティブ」の会社が運営していながら、「オロナインでにきびは治せるか」のような競合商品の情報も掲載していることで話題になりました。
個々の記事内には自社商品の宣伝はなく「にきびに悩んでいる人がどんな情報を欲しているか」を徹底的に追求して掲載しているサイトです。
http://keiei.freee.co.jp/
「クラウド会計ソフトfreee(フリー)」を提供するfreee 株式会社が運営する、経営に役立つ情報サイト。
経営ハッカーでは、会社設立や給与業務や確定申告など、「会計」「経理」「経営」に関する情報が数多く掲載されています。
ビジネスに関する情報を検索していたら経営ハッカーの記事が出てきた、という経験のある方もいるのではないでしょうか。
http://hokuohkurashi.com/
雑貨の通販サイト内に、ライフスタイルに関する読み物コンテンツが掲載されている例。
一見、普通の通販サイトですが、商品ページと同じくらいかそれ以上のボリュームの読み物コンテンツが用意されています。
記事のひとつひとつが洗練されていて、固定ファンの多いサイトです。
オウンドメディアはなんのため?
事例をご覧になって、「なんだ、余裕のある大手がやることか」と思われたかもしれませんが、オウンドメディアは大企業だけではなく、中小企業そして個人でも広く取り組まれています。
では、オウンドメディアで「商品と直接関係のない情報」を提供することに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
▼メリット(1) 「広告を使わない集客」
オウンドメディアではいろいろな内容の記事を数多く掲載するため、検索エンジンから個々の記事への流入が増え、サイト全体へのアクセスを増やすことができます。
▼メリット(2) 「ファン作りやブランドイメージの構築」
商品やサービスを売り込むのではなく、ユーザーが知りたい情報を提供するオウンドメディアは、繰り返しサイトを見てくれる「ファン」の獲得につながります。
また、専門的な記事を数多く掲載することで、プロフェッショナルとしての信頼を獲得できるなど、ブランドイメージも高めることができます。
▼メリット(3) 「確度の高い見込み客の獲得」
自社の商品やサービスに関連するテーマのオウンドメディアを運営することで、そのジャンルに関心のある、「確度の高い見込み客」を継続的に獲得する仕組みを作ることができます。
オウンドメディアの取り組み方
オウンドメディアの出発点は、「テーマを決めて記事を増やしていくこと」です。
テーマは必ず、自社の商品やサービスに関係するものであることが重要です。ただし、あまり範囲を狭めすぎてもネタがすぐに枯渇します。
最初の段階で記事が20個はすぐに思い浮かぶようなテーマを選びましょう。
記事の内容は、「商品情報だけ」や「日記」ではないことに注意しましょう。
従来のブログとの違いは、「ユーザーに有益な情報」「ユーザーが知りたいと思っている情報」を発信するという点です。
「御社にとって大事にしたいユーザーが喜ぶ記事を、どれだけたくさん提供できるか」が、オウンドメディア成功のポイントになります。
オウンドメディアには、広告費がかからないというメリットはありますが、決して「コストゼロ」ではありません。
「質」のいい記事を提供するにはそれなりのコスト(執筆に対する人件費)がかかります。
継続的・定期的な更新も重要ですし、記事の「量」も要求されるため長期的な取り組みが必要であることも認識しておきましょう。
ここ1年ぐらいで急に流行したようにみえるオウンドメディアですが、実際は、このメルマガでも繰り返し伝えてきた「サイト上では、ユーザーにとって有益な情報をたくさん提供しましょう」というお話の延長線上にあります。
【あきばれホームページ】の会員さんの中でも、すでに、プチ・オウンドメディアといえる事例もあります。
まずは「有益な情報を、ユーザー視点で発信する」ところから取り組んでみてはいかがでしょうか?