事務所の場所で売上は変わる!? 士業事務所の選び方
独立・開業をしようと思ったとき、事務所の場所をどうしようかと考えるのは、どの先生も通る道です。
土地勘や自宅がある地元で開業する先生もいるでしょう。
都会の方が人がたくさんいるから受任できそうだ、と都会に開業する先生もいるでしょう。
実際問題、ネットで全国的に集客できると言っても、士業の先生に仕事を依頼するのは、事務所近辺にお住まいの方であることがほとんどです。東京に住んでいる人が、わざわざ北海道の先生に仕事を依頼するのは、非常にまれなケース。大抵の場合は、東京在住なら東京の先生に頼みますし、その方の移動距離圏内にある事務所にお願いします。
それを考えると、「事務所をどこに構えるか」で、とれる新規顧客のパイが決まってしまうようなものです。こうしたことから、事務所選びは安易に決めずに、慎重にするのがおすすめと言えます。
では、次から事務所選びのポイントをお伝えしていきましょう!
交通の便の良さは必須!
都会の事務所を構えるにしても、地方に事務所を構えるにしても、交通の便の良さは外せません。
なぜなら、士業の先生のサービスは、ネットだけで完結するものではないからです。
実際に仕事を依頼することとなれば、お客様は事務所へ足を運ぶことになります。足を運ぶことを考えたら、行きやすい事務所を選択するのが普通です。何時間も電車に乗らないとつかないところや、最寄駅から30分も歩くようなところをわざわざ選びません。
また、先生ご自身が顧問先へ足を運ぶこともあるでしょう。顧問先に足を運ぶことを考えたとき、やはり交通の便が良くない場所は不便です。顧問先に行く、その移動だけで時間がかかってしまいます。
そういった2つの観点から、事務所は交通の便の良い場所が絶対におすすめです。
都会なら、駅から近いところ、分かりやすいところ。徒歩10分以内が望ましいでしょう。10分を超えると「遠い」という印象を持たれ敬遠されてしまいます。
また、あまり知名度の高くない(何線にあるのかが、パッと分からないような)駅や、都心からのアクセスがあまり良くない(乗換が多い、電車の本数が少ない)駅も要注意です。
地方であれば車社会なので、車で行きやすい場所が良いでしょう。駐車場が利用しやすい場所がおすすめです。
高い家賃問題は、レンタルオフィス&SOHOでクリアー
ただ、こうした交通の便の良い場所に事務所を構えようとすると、問題となるのが家賃です。
交通の便が良い場所、人が集まる場所は、人気があるため家賃も高くなります。
そういう場合、レンタルオフィスやSOHOマンションなどを検討してみるのも良いのではないでしょうか? 最近は、レンタルオフィスやSOHOマンションが増えています。普通に賃貸するより、ずっと経費を抑えらるので、低予算でも人気のある場所に事務所を構えられるのが良いところです。
その他、レンタルオフィスやSOHOマンションのメリットは、こちらの記事「独立開業時、事務所は借りる? それとも自宅開業?」でも詳しくご紹介しているので、ぜひそちらをご覧ください。
都心と地方、どっちに事務所を構えるのが正解?
人が多ければ、仕事も多い。
だから都会に事務所を構えれば、仕事に困らないだろう。
……と、そんな安易な考えはNGです。
お考えの通り、都会は人口も多く、仕事の数も多いです。
でもそれと連動して、士業の数も多いのです。
つまり都会は競争率が高いのが一般的。仕事の数が多くても、士業の数も多いので、仕事の取り合いになる可能性も否めません。
競争率が高い場所でコンスタントに仕事を取っていくには、相当サービスに磨きをかけ、マーケティング力・営業力に秀でていないと難しいと言えるでしょう。
競争率が高いところに事務所を構えるのは、あまり良い方法とは言えません。
では地方が良いのでしょうか?
地方は都会に比べ、士業の数は少ないです。新規顧客の取り合いになることも、都会に比べれば少ないと言えます。
ただやはり、それと連動して人口が少なく、仕事の数も少ないのが地方。収入に不安がないくらい稼げるパイがあるかどうかは分かりません。
大切なのは、都会か地方かではなく、「市場規模」
事務所をどこに構えるかを検討する際、最も念頭に置いておきたいのは、「市場規模」です。
事務所設置を検討している地域の「市場規模」を知るには、先生と同じサービスを提供する人が、その地域にどれくらいの数がいるのかを、まず調べましょう。次に、先生のサービスを使うことで解決できる案件がその地域でどれくらいの数発生しているのかを知りましょう。
案件数を士業の数で割れば、その地域の「市場規模」が分かります。
たとえば、案件数が100件あり税理士が20人いるA地域と、案件数が60件あり税理士が5人いるB地域では、どちらの方が「市場規模」が大きいと言えるでしょうか?
- A地域:100案件÷20人=5
- B地域:60案件÷5人=12
となり、案件数こそ少ないもののB地域の方が、市場規模は大きいと言えます。
市場規模が大きい方が、競争率も低く、案件も取りやすいので、新しく事務所を構えるならこういった場所を探すのがおすすめです。
事務所の場所を決めるときから戦いは始まっています。事務所を構える場所は、戦略的に選んでいきましょう。
独立・開業時は、どこに事務所を置くのがベスト?
独立・開業したばかりのときは、資金も今後の見通しも十分にないのが普通のため、いきなり都会に事務所を持つのは難しいかもしれません。無理して都会に事務所を構えても、資金が底を尽きるだけ。
先生ご自身が理想とする場所、憧れている場所に事務所を構えたいのなら、最初のうちは賃貸ではなく、実家や先にご紹介したレンタルオフィスなど、身軽なところで事務所を構えてみると良いかもしれません。
そうしたところを選んでおけば、資金力や集客力が身に付ついたときに、フットワーク軽く移ることができます。
ぜひ先生のサービスと相性の良い地域を見つけてみてください。