【SWOT分析の基本】自社サービス・商品についてよく知ろう!
業績を上げるためには、まず自社サービスについて良く知ることが大切です。
がむしゃらに営業を頑張り、販促にお金をかければ業績はあがるというわけではありません。
自社のサービスの強みと弱み、それが消費者にどのように評価されるのかを知ることによって、業績をあげるために何をすれば良いのかが分かってきます。
本記事では自社やサービスの状況について分析する際によく使うフレームワーク「SWOT」分析について説明します。
SWOT分析とは?
「フレームワーク」や「●●分析」と聞くと、何か専門的な知識が必要な印象があるかもしれませんが、実は経営コンサルタントのような専門職でなくてもこのような分析を行うことは有効です。
フレームワークはカタカナにすると難しく聞こえますが要するに思考のパターンのことで、すこし練習すれば誰でも使うことができます。
最もポピュラーかつ重要なフレームワークの1つであるSWOT分析について説明します。
SWOT分析とは?
SWOT分析のSWOTとは、以下の4つの頭文字をつなげて名づけられたものです。
S…Strength(強み)
W…Weakness(弱み)
O…Opportunity(機会)
T…Threat(脅威)
特に、強みと弱みは自社のことなので内部環境を指します。機会と脅威は自社ではどうすることもできない市場の変化などの外部環境のことを指します。
強み、弱み、機会、脅威を分析して自社の今後の戦略の判断基準をつくるのがSWOT分析の主旨です。
なぜ、SWOT分析をするのか
SWOT分析は、会社や商品、サービスの置かれている状況を最も大局的に判断するためのフレームワークです。
例えば、「今後どうすればもっと商品の売り上げを伸ばすことができるのか?」と質問されたとします。このとき、思考のパターンが整理できていなければ、答えを論理的にまとめることは困難です。
しかしSWOT分析で商品の置かれている環境を、「強み、弱み、機会、脅威」に分解して分析できていれば、以下のように、何が商品の売上を伸ばすポイントで何が商品の販売を阻害する可能性になるのかを考えることができます。
(例)----
「他社製品と比較して価格の割に品質が良く(強み)量販店ウケが良いので量販店開拓を強化しよう」
「今は売上が作れているけれども円安によって原材料価格が高騰している(脅威)ので、このままだといずれ値上げによってユーザーが離れてしまう。価格を上げないために商品の生産体制の見直しを行わなければならない」
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またフレームワークをベースに話を整理すると、論理的に意見を説明することができます。
SWOT分析を実践する
ではSWOT分析は便利だとして、どのように使えば良いのでしょうか。その実践方法について説明します。
何のためのSWOT分析なのかを考える
まず、重要なのは何のためのSWOT分析なのかを明確にする必要があります。
SWOT分析は定性的かつざっくりとした切り口で行う分析なので、細かく考えだせばいつまでも終わりません。
しかも、やっているうちに、SWOT分析を行うことそのものが目的化してしまって最終的に何がしたかったのかを忘れてしまうということも発生します。
例えば、自社の営業改善のためにSWOT分析を行っているのに、工場の稼働状況について細かくSWOTで分析したり、財務について詳しくSWOT分析をしたりしても、おそらく「どうすれば良いのか」に結びつく分析はできません。
SWOT分析を行えば、一見まともな報告書やレポートを書けますが、本質的にSWOT分析の意味が無かったということもよくあります。何のためのSWOT分析なのかを意識することは重要です。
SWOTを書きだす
上のことを踏まえて、強み、弱み、機会、脅威について書き出していきます。
SWOTを分析していくと、これは強みなのか機会なのか、弱みなのか脅威なのかについて悩むときがあります。
一般論として自社の力だけではどうしようもすることができないことを、機会や脅威、自社固有の性質のことを強み、弱みに分類します。
この基準で悩む場合は、経営コンサルタントのように、このような分析を職業にしている人でもない限り、直感でどこかに分類してしまって大丈夫です。
というのも、一つや二つのSWOTの位置が間違えていても結論には大きく影響することは少ないからです。それよりもやりきって答えを出す方が重要です。
SWOT分析に基づき答えを出す
以上の方法で、SWOT分析が完了すれば今度ははじめに行った問題設定に対してSWOT分析の結果に基づいて答えを出してください。SWOT分析で重要なのはその結果をもとに答えを出すことです。
答えのパターンとしては
- 強みを活かして競争優位を保つ、その強みをより伸ばす
- 弱みが問題にならないビジネスをする、もしくは克服する
- 機会を活かして事業規模を成長させたり、収益を上げたりする
- 脅威に備えて対応策を行う、違うマーケットを狙う
のような、パターンが考えられます。
このパターンは一つに絞りこむ必要はありません。むしろ複数の答えを用意して、その優先順位を検討した方が良いでしょう。
SWOT分析の際の注意点
SWOT分析の方法で説明しましたが、上で挙げた以外にもいくつかの注意点が存在するので紹介します。
客観的に分析する
まずSWOTを書きだす際に重要なのが、「客観的に分析する」ということです。
社員にヒアリングした内容を鵜呑みにしたり、自分の感覚だけでSWOTを書きだしたりすると、主観的な項目がSWOTに並びがちです。
例えば「営業が顧客から信頼されている」というのは、どこの会社でもヒアリングをした際に強みとして挙げられがちですが、本当に信頼されているかは不明確ですし、その割に一人当たりの売上が低い営業部も存在します。
ヒアリングや自分の感覚をそのまま信じるのではなく、その裏付けができないか、身内びいきや信じない方が良い情報が含まれていないのかを注意した上で、客観的に分析するようにしてください。
信頼しすぎない
またSWOT分析の結果を信頼しすぎないことも重要です。
SWOT分析は定性的な分析になりがちで、定量分析のように数値ベースで客観的に分析できるわけではありません。
よって、ときにはSWOTの項目に間違った要素が紛れ込んでいて、間違った結論に至るということも発生しがちです。
SWOTで厳密的な答えを出そうとはしない方が良いでしょう。
SWOT分析は、大まかな方針を出すために使用するフレームワークであって、SWOT分析から得た結論が実現できるかどうかは、別途更に細かく検討してみるか、成功失敗を繰り返してPDCAの中から精度を高めるべきです。
行動に結び付くことが大事
上のことに関連してSWOT分析から導き出された結論は行動に結び付くことが重要です。
SWOT分析を行った結果、結論を導き出せない、導き出した結論が理想論で役にたたないということはよくあります。行動に結び付けることを意識しながらSWOT分析の結論を導いてください。
SWOT分析のまとめ
以上のようにSWOT分析について説明してきました。
SWOT分析は自社や商品が置かれている状況を、強み、弱み、機会、脅威の4つ分類して、分析する手法です。少し練習すれば誰でも使うことができる基本的なフレームワークです。
SWOT分析では、まず分析すべき対象や問題を設定して、その対象や問題に関して強み、弱み、機会、脅威の4つを書きだして、それをもとに問題に対する結論をだすだけです。
誰でも使うことのできるフレームワークで、大まかな戦略を考える際にはよく使う手法ですが、厳密な答えはSWOT分析だけでは導き出せません。
SWOT分析は大まかな方針を出すための分析だという前提で、SWOT分析によってきちんと行動につながるような答えを出そうとするのが分析を行う上でのポイントです。