前回は、「手づくり」のホームページで企業が自らこまめに情報を更新していくことが売り上げを拡大するポイントであり、このようにホームページを使って1億円以上の売り上げを達成した中小企業がたくさん存在する事例を紹介した。
今回は、ホームページを営業にどう活用していけばよいのかをもう少し突っ込んでお話ししたい。
飛び込み営業でストレスいっぱいの営業マン
東京・池袋にある私たちの会社のオフィスには、毎日のように飛び込みの営業マンがやってくる。
「社長さんと名刺交換だけでもと思いまして……」
もちろん、ふいに訪問を受けても受付でお断りするので、社長の私の所まで彼らがやってくることはない。
また、セールスの電話も頻繁にかかってくる。
おそらく1日に何十件と電話をかけているであろう受話器の向こうの営業マンには申し訳ないが、こちらも取り次ぎをお断りしている。
こうした飛び込み式の営業や電話のセールスは、近年きわめて成功率が低くなったのではないか。
もちろん商材や担当者のスキルにもよるのだが、1日飛び込み営業を続けて1社もまともに話を聞いてもらえなかった、というのは決して珍しいことではない。
営業マンのストレスたるや相当なものだろう。胃潰瘍やうつ病になってしまい、退職を余儀なくされる人も少なくないと聞く。
しかし、それでも飛び込み営業や電話セールスを企業が彼らに命じているのはなぜだろうか??。
いちばんの理由は「お客さんが目の前にいないから」である。
お客さんが目の前にいればセールスできるのだが、お客さんがいないから、お客さんを探して飛び込み営業を続けているのだ。
いくらセールスのテクニックに長けている営業マンでも、お客さんがいなければ宝の持ち腐れだ。
集客とセールスの違い
マーケティングの世界では、営業活動を「集客」と「セールス」という二つのプロセスに分けて考える。
お客さんを集めるのが「集客」、集めたお客さんに売り込むのが「セールス」である。
つまり、自動車販売ならば、ショールームにお客さんを連れてくるのが「集客」、ショールームを訪れたお客さんに営業マンが一生懸命売り込むのが「セールス」というわけだ。
一般に営業マンは「セールス」のプロだが、「集客」のプロではない。
ショールームを訪れたお客さんに対する「セールス」テクニックには長けていても、そこにお客さんを連れてくる「集客」ノウハウを持ち合わせていない営業マンが多いのだ。その結果、「集客」のために飛び込み営業を続けることになる。
もっと効率よく「集客」するにはどうすればよいのだろうか。
ホームページを「集客ツール」にフル活用しよう
そこでホームページの出番となる。
ホームページを「集客ツール」として活用するのだ。営業マンに飛び込みで集客させるのではなく、ホームページに集客をさせる。
企業がホームページをつくると、ホームページで商品やサービスを「セールス」したいと考える経営者は少なくない。
しかし、ホームページで「セールス」するにはネットショップのノウハウが必要だから、そのノウハウを持たない企業ではネットで「セールス」するのは難しい。
であれば、「セールス」は営業マンに任せて、ホームページを「集客」のために利用しよう。
検索エンジン対策(Search Engine Optimization=SEO)やネット上に広告を出したりして、まずは見込み客を自社ホームページに集めよう。そして、ホームページでさまざまな情報を提供する。
お客さんが必要とする情報をホームページで提供すれば、お客さんはサービスや商品に興味を持ち、お客さんの方から資料請求や見積もり依頼をしてくれる。
ここまで来れば、あとは営業マンの出番である。資料請求してくれたお客さんに電話して、通常のセールス活動を開始すればよい。
自社商品に興味を持つお客さんに営業できる
ここで大切なのが、お客さんは自社のサービスや商品に興味を持ったから資料請求してくれた、という点だ。
飛び込み営業の場合、自社商品にまったく興味がないお客さんを相手にセールスしなければいけない。
ところがホームページを活用する場合は、お客さんの側から詳しい話を聞かせてくださいと手を挙げてくれている。
「話を聞きたい人」に対して営業するわけだから、営業マンの仕事(セールス)のやりやすさに天と地ほどの差が生じるのだ。
第1回でお話しした「手づくり」のホームページならば、「話を聞きたい」お客さんが必要な情報を自社で簡単に更新できる。
営業マンのモチベーションが上がる
以前、電子部品を扱う製造業に「手づくり」のホームページを使った集客の仕組みの構築をコンサルティングした結果、その翌年には売り上げが10億円から13億円へと増加した。
後日、そこの社長さんに会ったところ、こんな話を聞くことができた。
「売り上げが上がったのも嬉しいが、いちばんよかったのは営業マンのモチベーションが上がったことです」
以前は自社製品にまったく興味がない人を相手に電話セールスをしており、営業マンに相当のストレスがたまっていたという。
ところが今は、ホームページを使うことで製品に興味を持ったお客さんに営業できるため、相手の反応がまったく違う。
自分の話を聞いてくれるというだけで、営業マンのやる気が随分と変わってきた。最近は営業部門のモチベーションがとても高く、社員は以前と比べてとても元気に仕事をしているそうだ。
ぜひあなたの会社でも、「手づくり」のホームページを活用して、お客さんを営業マンの前に連れてきてあげてほしい。
商品に興味を持つ見込み度の高いお客さんを営業マンの前に連れくることで、営業マンのストレスはずいぶん軽減されるし、業績も向上するだろう。
では、このような「お客さんを連れてくるホームページ」はどうやってつくればよいのだろうか。
次回はもう少し具体的に、その方法をお話していこう。
(この記事は、ダイヤモンド・オンラインへ寄稿したものです。)